山口智子さん、夫との愛と旅心で選んだ「自分らしい人生」
栃木の老舗旅館で育った少女
山口智子さんは栃木県の伝統ある老舗旅館で一人娘として生まれ育ちました。幼少期から祖母や父とともに旅館の仕事を手伝い、将来は女将を継ぐことを期待されていました。しかし、両親が離婚したあと母と妹は家を出て行き、智子さんは祖母と父に支えられながら成長しました。学生の頃からテレビの紀行番組に憧れ、世界への好奇心を育んでいました。
モデルから女優へ:夢に向かった一歩
高校を出ると、智子さんは東京の短大に進学し、学業と並行してモデル活動を始めました。やがて23歳のとき、NHK朝の連続テレビ小説『純ちゃんの応援歌』のヒロインオーディションに挑戦し、見事主演に抜擢され女優デビューを果たします。フレッシュで親しみやすい演技が支持を集め、この作品をきっかけに芸能界へと本格的に進みました。
華やかな女優人生とヒット作の数々
智子さんは以降も多くの人気ドラマや映画でヒロインを務め、90年代には“トレンディドラマの女王”として一世を風靡しました。大ヒットしたドラマ『ロンバケ(ロングバケーション)』(1996年)などで幅広い層から人気を集めました。その明るい笑顔と自然体の演技は国民的な支持を得て、若い女性たちの憧れとなりました。
結婚そして夫・唐沢寿明さんとの生活
1995年、同じドラマで共演した俳優・唐沢寿明さんとゴールインしました。結婚後は子供を持たない人生を選び、夫婦2人でゆったりとした生活を大切にしています。智子さんは唐沢さんのことを「広い大地のような人」と評し、自由に自分を表現できる環境を与えてくれると感謝しています。忙しい撮影の合間も、唐沢さんは家事や洗い物などを率先して手伝い、智子さんを支えていることが多いそうです。夫妻は互いの価値観の違いを受け入れながら、温かい信頼関係で結ばれた毎日を送っています。
女優としての姿勢:謙虚に学び続ける
智子さんはベテランの俳優でありながら、自身の演技に常に謙虚です。バラエティ番組で「いまだに演技の向上法がわからない」と笑いながらも語るように、演技とは終わりなき修練だと考えています。約30年ぶりに出演したNHK朝ドラ『なつぞら』(2019年)では、元ダンサーの役柄として劇中にフラメンコを披露し、自ら再開したフラメンコの情熱も表現しました。こうした経験は女優としての糧になっており、智子さんは「俳優として人として、学び続けたい」と語っています。
世界をめぐるライフワーク「LISTEN.」
30代後半から智子さんは、世界中の音楽文化を映像で記録するプロジェクト『LISTEN.』に取り組んでいます。このライフワークでは自ら企画を立て、現地の人々と触れ合いながら旅を重ね、26か国以上で250曲以上の音楽映像を収めてきました。彼女にとって音楽は“人間の共通言語”であり、その土地特有の生活や文化が反映された音楽には壮大な物語が宿ると語ります。完成した映像はテレビドキュメンタリーにもなり、写真集やドキュメント本でも紹介されました。智子さんは「このプロジェクトで世界を巡れることは夢のよう」と話し、今も旅を続けながら自身の視野と経験を広げています。
独自の人生観:自分らしく生きるための哲学
智子さんの人生には、一貫した独特の哲学があります。幼い頃に「自分の夢を描くことを許されなかった苦しさ」を経験したからこそ、「人生は自分で選び取るもの」だと信じています。多くの人と同じである必要はなく、自分の心の声に耳を傾けて選択を重ねることで「後悔しない人生」が築けると語ります。おだやかな口調ながら、智子さんは自分らしさを大切にし、常に前向きに選択を続けてきました。
現在の活動と未来への夢
現在も女優活動と『LISTEN.』プロジェクトを両輪に活動しています。2024年にはフジテレビ系ドラマ『ペンション 恋は桃色 Season2』に出演し、2023年にはNHK『正義の天秤 season2』にも登場するなど、スクリーンでも存在感を示しています。また、2024年にはTBSでスペシャルドラマ『LEADERS2』にも出演し、新たな挑戦を続けました。今後も智子さんは、夫と支え合いながら世界中を旅して学びを深め、その経験を映像にして届ける活動に意欲を見せています。かつてないほど自分らしく生きている山口智子さん。これからも彼女の飾らない笑顔と真摯な姿勢で、私たちに素敵な刺激を与えてくれることでしょう。



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