PPAP世界的大ヒットで一躍世界のスターに
2016年に公開された「ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)」の動画は、ピコ太郎を瞬く間に世界的なスターに押し上げました。リズミカルでクセになるこの楽曲はSNSを通じて爆発的に拡散され、海外セレブからも注目を集めました。特にカナダの人気歌手ジャスティン・ビーバーさんが「お気に入りの動画だ」と紹介したことで、一気に知名度が上昇しました。わずか45秒のこの曲は米国ビルボードチャートにもランクインし、“最も短いヒット曲”としてギネス世界記録にも認定されました。アメリカ大統領の孫娘までもが真似して踊る姿が話題になるなど、ピコ太郎は世界中に笑顔の連鎖を生み出しました。
ピコ太郎を生み出した古坂大魔王
そんなピコ太郎の生みの親でありプロデューサーを名乗るのが、お笑いタレントの古坂大魔王さんです。本名は古坂和仁さんといい、出身は青森県。1990年代から芸人やミュージシャンとして活動を続けてきましたが、長年大きなブレイクには恵まれませんでした。しかしコツコツと実力を磨き、2016年についに自身が扮するキャラクター「ピコ太郎」で大ブレイクを果たします。「PPAP」は子どもにもウケるユニークなリズムを狙って作ったといい、その狙い通り赤ちゃんが泣き止む効果があるとも話題になりました。古坂さんは公式には「古坂とピコ太郎は別人」というユーモアを貫いていますが、その陰には彼自身の努力と笑いへの情熱が隠れています。
支えてくれた家族と結婚秘話
世界的人気を得た古坂大魔王さんですが、その成功を陰で支えていたのが妻の安枝瞳さんでした。安枝さんはタレントとして活動しており、お二人はインターネット番組での共演をきっかけに知り合いました。3年間の交際を経て結婚の話が持ち上がりますが、当時は安枝さんの仕事の都合もあり一度入籍を延期しました。それでも絆は変わらず、PPAP大ヒットの翌年である 2017 年 8 月についにゴールインしました。ブレイク直後の多忙な時期、古坂さんを支え続けた安枝さんの存在は大きく、古坂さん自身も「大柄で強面に見える人間ほど実は優しいんです」と語るように、家族への深い愛情を隠していません。
出典元:eltha ORICONNEWS/(ピコ太郎こと古坂大魔王さん・妻の安枝瞳さん)
父親になって見えた新しい世界
2018年6月、夫妻に待望の第一子となる女の子が誕生しました。それも奇しくも父の日に生まれてきてくれたことで、古坂さんは「かわいくてやばい!」と娘にメロメロになりました。出産当日は感動よりもまず奥さんの体調を気遣い、無事に生まれた翌日に娘を抱いた瞬間「ああ、自分の子どもなんだ」と込み上げるものがあったといいます。もともと男兄弟で育った古坂さんは女の子の育て方に戸惑いもあったそうですが、生まれてみれば「女の子、かわいくてやばいですね!」とすっかり親バカぶりを発揮しています。デパートで1~2歳児用の15万円もする高級ジャケットを見つけ、「買ってあげたい!」と思わず真剣に悩んだほど娘を溺愛しているエピソードもあります。娘の笑顔は仕事の悩みや野心さえも吹き飛ばすほど大きな力になり、古坂さんは「家族ができて、自分の中にもう一つ別の世界が生まれた」と語っています。
妻に言われた「育児2%」の衝撃
しかし、父親になった当初は順風満帆というわけではありませんでした。第一子が生まれた頃の古坂さんは、PPAPヒット後の多忙も重なり毎週のように海外出張が続くほとんど家に帰れない生活でした。当然、育児のほとんどは妻に任せきりになっていたのです。おむつ替えやお風呂入れなど「できるときに手伝っている」という意識でいましたが、娘が生後7か月の頃に「どれくらい育児に関われているかな?」と妻に尋ねたところ、「2%かな」と返されました。この一言に古坂さんはハッとさせられました。自分ではサポートしているつもりでも、実際は妻に育児を丸投げしていた現実に気付かされたのです。その後古坂さんは深く反省し、「二人目ができたら今度こそ本気で育児する」と心に決めました。幸い第二子にもまもなく恵まれ、2020年には次女も誕生しました。ちょうどコロナ禍が始まった時期と重なり仕事が制限されたこともあって、毎日育児に関わる時間を持てた古坂さんは、「今度こそ真のイクメンに」と奮闘しています。
病気の子どもたちに笑顔を届けたい
ピコ太郎の明るいキャラクターは、自身の子どもだけでなく病と闘う子どもたちにも勇気を与えました。古坂さんは2018年、小児がんの少女・あいりちゃんと出会ったことをきっかけに支援活動を始めています。ピコ太郎の大ファンだった当時3歳のあいりちゃんの願いで実現した面会では、抗がん剤治療で髪の毛が抜けていたあいりちゃんがピコ太郎の衣装を身につけて出迎えてくれました。彼女は小さな体で一生懸命ピコ太郎の真似をして踊り、古坂さんもその姿に胸を打たれました。しかし、楽しい時間の後には辛い手術が控えていることを伝えなければなりません。「悪いヤツ(病気)をやっつけようね、頑張ってね」とピコ太郎の姿で励ますと、笑顔だったあいりちゃんの表情が一瞬で曇ってしまったといいます。その後、あいりちゃんは残念ながら亡くなりましたが、彼女との出会いは古坂さんの心に深く刻まれました。古坂さんは「あの子たちのためにピコ太郎を最後の最後まで絞り切ってやろう」と心に決め、以降チャリティー団体「エンパワー・チルドレン」に参加して小児がん支援に精力的に取り組んでいます。2024年からは病院を訪問するライブ活動にも参加し、ピコ太郎の歌と踊りで闘病中の子どもたちに笑顔を届け続けています。
現在の活躍とこれから
現在、古坂大魔王さんは二児の父として子育てに奮闘しながら、芸能界でもマルチに活躍しています。NHKの子ども向け番組『ビットワールド』や育児番組『すくすく子育て』にレギュラー出演し、自身の育児経験を活かしたトークや笑いでお茶の間を和ませています。また、経済情報番組の司会を務めるなどお笑い以外の分野でも才能を発揮し、その博識ぶりが評価されています。ピコ太郎としても新曲や動画を発表し続けており、コロナ禍には手洗いソング「PPAP-2020-」で世界にエールを送るなど再び話題を呼びました。50歳を迎えたいまも精力的に活動を続ける古坂さんですが、仕事の合間には「家族との時間を何より大切にしている」と語ります。家族の支えと笑顔を原動力に、これからもピコ太郎と古坂大魔王として世界中に笑顔と元気を振りまいてくれることでしょう。
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